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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ

「菊乃と良人の康英の間には二人の子どもに恵まれておる。しかも、二人ともに男子だ、河越氏もこれで今度こそ、安泰であろう」
「はい」
この時、頼経の心をよぎった想いはあまりにも複雑すぎて、誰にも理解はできなかったずだ。今、〝竹御所〟として伝わる頼経の最初の愛妻こそが、菊乃の異母姉千種であったのだから。頼経の妻となるはずだった正真正銘の紫姫が二十八歳で亡くなり、極秘裏に祝言の二ヶ月前、紫姫にうり二つであった千種が替え玉に仕立て上げられたのだ。
「はい」
この時、頼経の心をよぎった想いはあまりにも複雑すぎて、誰にも理解はできなかったずだ。今、〝竹御所〟として伝わる頼経の最初の愛妻こそが、菊乃の異母姉千種であったのだから。頼経の妻となるはずだった正真正銘の紫姫が二十八歳で亡くなり、極秘裏に祝言の二ヶ月前、紫姫にうり二つであった千種が替え玉に仕立て上げられたのだ。

