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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
 五月も半ばになろうかという日、頼経がいつものように姿を見せた。惟章の死以来、尋常でない瑶子を気遣い、頼経は暇があれば瑶子の顔を見にやってくる。
「そなたを連れていきたいところがある」
 頼経に誘われ、これもいつものごとく惚けたように庭を眺めていた瑶子は、虚ろな眼を頼経に向けた。まるで洞(うろ)のような瞳に頼経は自分の視線を合わせ、瑶子の顔を覗き込む。
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