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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
 瑶子は何も言わず、幼子がするように厭々と首を振る。だが、いつもなら瑶子には甘い頼経が今日だけは違った。
「菊乃、瑶子を町に連れて出てゆくゆえ、目立たぬように支度させてくれ」
 そのひと言で瑶子は町の娘のような質素な小袖に着替えさせられ、有無を言わせず頼経に町に引き出されてしまった。
 頼経自身もお忍び姿なので、地味な直垂を纏っている。
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