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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
 白い花はしばらくは波間をゆらゆらと漂っていたが、すぐに沖へ運ばれて見えなくなった。瑶子は難産で生命を落としたという薄幸の佳人とこの世の光を見ることなく逝った嬰児(みどりご)のために冥福を祈りながら、花が流れていった方を眺めていた。
「真に良かったのか? あの花はそなたのために買ったのだぞ」 
 頼経が言うのに、瑶子は笑った。
「私は姫小百合を頂きますから」
 確かに薄いピンクの可愛らしい小さな百合は瑶子のイメージにぴったりだった。
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