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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第26章 悪しき夢(結実)
―初めてだから痛くないようにしないとね。
瑶子は惟章の笑顔を見つめた。彼のこんな優しい表情を見たのは久しぶりだ。そう、ずっと昔、瑶子と頼経の婚約が決まるまでは惟章もよくこんな風に優しく笑っていたのだ。
笑顔に気を取られている中に、男がいきなり蜜口に指を挿入してきた。
―何を?
不安が目尻に涙を押し上げた。惟章は瑶子の眼許にそっと口づけ、唇で涙を吸い取る。
―怖がらないで良い。瑶子のいやなことはしないから。