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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第27章 切なすぎる夜
 一度、窓から覗いた外は依然として烈しい風雨が吹き荒れていた。これでは御所に戻るどころではない。菊乃に行く先を告げずに出てきたことが今更ながらに悔やまれた。もし由比ヶ浜へ行くのだと告げていれば、いつまでも帰らない将軍夫妻を案じて迎えが来たかもしれないのに。
 狭い室内に立ちこめる静寂が重くのしかかってくるようだ。
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