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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】
「本当に本当に?」
なおも訊ねる大姫に、義高が近づいた。義高の端正な面が迫ってくる。
やがて額にそっと落とされたのは触れるか触れないかほどのきわどさの一瞬の口づけ。
「これが約束の証です」
「じゃあ、私も」
義高と大姫では背が違いすぎる。伸び上がっても、まだ足りない。それでも、義高はすぐに理解して、しゃがみこんでくれた。大姫は精一杯背伸びして、義高の頬にそっと口づけた。