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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】

今から思えば、ませた子どもであり、また、無邪気な子ども同士の他愛ない約束事であった。けれど、大人から見れば他愛ないものであっても、幼い当の二人には真剣そのものの約束であった。
「義高さま、忘れないでね。大きくなったら、必ず私をお嫁さんにして下さいませ」
満開の桜の下で絡めた指と指、まなざしで交わした約束、それが大姫の生きる証になった。
だが、その約束が果たされることは永遠になかった。
「義高さま、忘れないでね。大きくなったら、必ず私をお嫁さんにして下さいませ」
満開の桜の下で絡めた指と指、まなざしで交わした約束、それが大姫の生きる証になった。
だが、その約束が果たされることは永遠になかった。

