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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
「寝所の窓でも少し空いていたのでございましょう。侍女たちにもう少し気を付けるように申しておかねば」
 瑶子は朗らかに言い、蝶が消えた方をいつまでも見つめていた。少しくして彼女は頼経に言うともなしに言った。
「殿、私も北条の怖ろしさがそこまでだとは迂闊にも存じませんでした。さりながら」
 瑶子はここで言葉を句切り、今度は振り向き、頼経を真っすぐに見つめた。
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