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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第35章 対決~将軍と執権~

その菊乃には四人の子がいて、頼嗣よりは年上の長男正英、次男康経、それから千種、三男の元正と続いた。頼嗣より年上の正英や康経は彼にとって兄のような存在であったのだ。
幼いときは河越館の庭でを相撲(すまい)を取ったり、木刀の手合わせをしたりと、彼らとの想い出は尽きない。
大御所となった父が将軍時代から信頼の厚い康英が菊乃の良人である。その康英は一挙に何歳も歳を取ったかのように憔悴しきった顔で惚(ほう)けたように宙を見つめていた。
幼いときは河越館の庭でを相撲(すまい)を取ったり、木刀の手合わせをしたりと、彼らとの想い出は尽きない。
大御所となった父が将軍時代から信頼の厚い康英が菊乃の良人である。その康英は一挙に何歳も歳を取ったかのように憔悴しきった顔で惚(ほう)けたように宙を見つめていた。

