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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 焔と雪、互いにその美しさの質はまったく違う。どちらが良いかは決められない。その時、千草の焔を映した漆黒の瞳に強い決意の光が閃いた。
 千草が燃え盛る焔を眺めていると、頼嗣が呟いた。
「何を考えている?」
「いえ」
 千草は微笑み、頼嗣を見つめ返す。
「頼嗣さまこそ、何をお考えになっているのですか?」
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