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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 頼嗣は春の陽差しに眩しげに眼を細め、隣り合った千草と眼が合うと照れくさそうに頬を染めた。もちろん、千草自身の白い頬にも朱が散っている。
 うつむく千草を見つめる頼嗣の瞳はもう少年ではなく、守るべき愛する女を手に入れた男のまなざしの深さを湛えていた。
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