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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第37章 浜辺にて(二)

頼嗣の魂は今もこの由比ヶ浜にとどまっていると千草は信じていた。彼は九条家の人だとはいえ、生まれも育ちも鎌倉だ。きっと住み慣れた鎌倉を突然離れて都では心淋しく過ごしたに違いない。
せめて最後のときだけでも側にいてあげたかった、今も千草はそれだけが残念でならなかった。
頼嗣はこの鎌倉を故郷だと言い、鎌倉の空と海をこよなく愛していた。だから、きっと彼の魂(こころ) はこの浜辺にいて、いつまでも千草と彼の忘れ形見を見守ってくれるだろう。
せめて最後のときだけでも側にいてあげたかった、今も千草はそれだけが残念でならなかった。
頼嗣はこの鎌倉を故郷だと言い、鎌倉の空と海をこよなく愛していた。だから、きっと彼の魂(こころ) はこの浜辺にいて、いつまでも千草と彼の忘れ形見を見守ってくれるだろう。

