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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
 相手の男が凡庸であったとしても、まともな神経の持ち主であれば良かったが、そのように女好きの気狂いと囁かれていては、幾ら楓でも嫁ぐ気にもなれないのは致し方なかった。
―お父さまは何故、判ってくれないの?
 考えれば考えるほど、涙が溢れてきて止まらなかった。
 一刻後、楓の乳母、さつきは控えめに部屋の扉を叩いた。
「姫さま、姫さま」
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