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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第6章 復讐のとき
「済まん、楓があまりにも可愛かったから、つい我慢がきかなくなった」
 時繁は平然と言い、指の腹で楓の唇からしたたる唾液をぬぐった。
 ふいに一陣の風が池面を吹き渡り、蓮の花たちがかすかに揺れた。あたかもざわめく楓の心をそっくりそのまま映し出したよう。
 二人はいつまでも名残尽きぬように清浄とした花を眺めていた。
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