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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
「私は今まで、あなたさまの素性を突き止めようと思ったことはありませんでした。一つには知るのが怖かった。何故か、あなたさまが誰であるかを知れば、私はもう時繁さまとご一緒にはいられないと、そんな予感がしてならなかったのです」
楓は小さく息を吸い込み、首を振った。
「でも、そういうわけにはゆかないようです。あなたが御所さまに明確な殺意、或いは敵意を抱いている以上、私はあなたが誰であるかを知らないわけにはいかない」
「―」