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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 時繁は口を開きかけ、つぐんだ。彼の美しい貌にもまた複雑な感情がよぎった。後悔、安堵、絶望、喪失。沈黙を守る時繁になり代わり、楓はひと息に言った。
「あなたさまは平家にゆかりのお方、平家の若君ではありませんか?」
「―っ」
 今度は時繁が息を呑む番だった。
「お前は知っていたのか!?」
 信じられないという面持ちだ。楓はひそやかに微笑った。
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