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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑

時繁が遠い眼になった。その瞳はあまりにも彼方を見つめている。今、この時、彼は十三年前の壇ノ浦合戦の最中を見ているのかもしれなかった。幼かった彼が見た、まさにこの世の地獄としか思えぬ阿鼻叫喚の地獄図絵、平氏の無念の最期を。
「我が一族は源氏に深い遺恨を抱いている」
楓の眼に涙が溢れた。
「ならば何故! 何故、私を妻になど迎えたのですか? 私は源氏の将の娘、あなたは平家の御曹司。たとえ天地が入れ替わろうと、共に生きることは叶わぬさだめなのですよ」
「我が一族は源氏に深い遺恨を抱いている」
楓の眼に涙が溢れた。
「ならば何故! 何故、私を妻になど迎えたのですか? 私は源氏の将の娘、あなたは平家の御曹司。たとえ天地が入れ替わろうと、共に生きることは叶わぬさだめなのですよ」

