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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 ややあって、楓はポツリと言った。
「それとも、利用したのですか? 源氏方の娘だから、近づいて誘惑して、身体さえ奪った。私を手なずけて、こうして敵方の懐深くに飛び込むつもりだったと」
 楓のすべらかな頬を涙がつたい落ちた。
「それは違う!」
 時繁は振り絞るように叫んだ。
「断じて、それはない。最初はお前を河越恒正の娘とは知らずに出逢った」
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