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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 時繁は小さくかぶりを振った。
「知ってからは利用しようという気がなかったとはいえない」
「やはり、そうだったのですね」
 怒りと衝撃に眼の前が一瞬、白く染まる。楓は初めて自分の頬が濡れているのに気付いた。この頬を濡らす涙は何のせい?
 時繁に裏切られたことへの落胆? それとも、利用されたことへの怒り?
 いいえ、違うと楓は自身に応えた。
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