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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 そのひと月後。月明かりもない夜更け、河越家の庭の奥深く、ひそやかに動く影が二つあった。
「それでは、予定どおりに」
 男女の性別を感じさせない声はどこかに感情を置き忘れてきたかのように響いた。
 対するのは男の声。
「薬は?」
「ここにこざいます。これを当日の朝、頼朝の膳に混入させます」
「判った」
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