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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
 漁師をを生業(なりわい)とするには、どこかしら品のある端正な面と雰囲気だが、そんなのは所詮は気のせいだろう。だって、初対面の人の顔を見て、いきなり笑い出すような礼儀知らずで無知な男なのだ。
 楓は男の上着の胸許から覗く小麦色の膚にドキリとし、思わず眼を背けた。
 男はまだ笑いながら、近づいてくる。楓は大きな眼を瞠って、近づいてくる男を凝視していた。
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