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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
「色っぽい海の女神というのは、あんたのことだよ、娘さん」
「え?」
 楓は当惑してまじまじと男を見つめ返す。男が漸く笑いをおさめて、真顔になった。
「あんたは綺麗で色っぽい。だから海の女神みたいだって言ったんだ」
 楓はカーッと頬が熱くなるのを自覚した。
「あ、あなたって、女と見れば誰にでもそんなことを言うのね」
 憎らしいことに、男は狼狽える楓を面白そうに眺めている。
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