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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
「あんた、つくづく箱入り娘なんだな。その姫さまが何でお付きもつけずに一人でこんなところに来た? 俺みたいな優しい男に出くわしたから良かったようなものの、とんでもないヤツだったら、それこそ頭からがりがりと食べられてたぞ、あんた」
「私は」
そこで楓は男が真剣な顔でこちらを見ているのに気付き、うす紅くなった。こんな男に見つめられて自分が紅くなる理由が判らないまま、コホンと小さく咳払いして続ける。
「家出してきました」