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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
「私はそなたに逢うたことはないが、楓はよう知っておる。更に、記憶に残る楓と紫はうり二つであった。だからこそ、楓とよう似ておるというそなたと紫もまた似ているのではと思うたのよ」
 それでも、千種はまだ政子の意図を計りかねた。茫然としている千種に向かい、政子は囁くような声で言った。
「我が孫紫は昨夜、死んだ」
「―っ」
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