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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
 政子の黒い瞳が射貫くように見つめている。その瞳は千種の返答にまったく得心していないことがありありと見てとれた。
 楓はホウと息をついた、やはり、尼御台の眼はごまかせないということだ。どうせ政子の提案した途方もない入れ替わりに荷担すると決めた身だ。
 今更、隠し立てすることもないだろう。
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