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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第10章 雨の朝(あした)
来たときに案内してくれた侍女に導かれて部屋を出て廊下を辿る。吹き抜けになった渡殿からは庭が見渡せた。夏ならば、ここからは満開になった蓮の花が見渡せるはずだが、神無月の今は枯れた蓮(はちす)がどこかうらぶれた姿を晒しているだけだ。
初夏には薄紅、純白と言わず大輪の蓮花が満開に咲き誇り、さながら極楽浄土もかくやといわんばかりの光景が出現する。それに引き替え、今の何と侘びしいことだろう。まさに、極楽と地獄ほどの違いがある。
初夏には薄紅、純白と言わず大輪の蓮花が満開に咲き誇り、さながら極楽浄土もかくやといわんばかりの光景が出現する。それに引き替え、今の何と侘びしいことだろう。まさに、極楽と地獄ほどの違いがある。