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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第3章 父と娘
 愕いている楓を尻目に、男は質問を続ける。
「あんたを北条に嫁がせようとしているのは?」
「―私の父です」
「そっか」
 彼は得心したように幾度も頷いた。
「あんたの父親の名前はどうやら訊かない方が良さそうだな。天下の北条と縁組みできるほどの家の娘だ、相当の家の姫さまだろう。で、あんたは親父さんの言うなりに、北条家に嫁ぐのか?」
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