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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
「痛ェな。どこに眼をつけてやがる」
 凄まれて、気の毒な小男は震え上がった。何を言いがかりをつけられるのかと警戒心も露わだったが、意に反して大男はあっさりと〝気をつけな〟と怒鳴り、懐手をして悠々と去っていった。小男はあからさまに安堵の表情を浮かべている。
「もし、そこの方」
 千種が声をかけると、小男は眼を丸くした。更に千種が雪膚の妙齢の女だと判り、赤面する。純情な男なのだろう。
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