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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
 千種の瞳にはまだ涙の雫が残っている。その涙を見て、男はハッとした表情になった。
「可哀想に、さぞ怖かったのであろうな。どこの娘かは知らぬが、これより後は無闇に無頼の輩に拘わってはならぬ」
「あっ、そういえば」
 千種は商人風の男に盗まれた財布を取り返してやると約束したことを思い出し、男にそれを告げた。
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