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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第11章 見知らぬ花婿
 寄せては返す波頭(なみがしら)が白い砂を洗い、海鳴りの音だけが静かに響いている。この音に耳を傾けていると、何故か心の奥底がざわめき、泡立つようだ。けして不快というわけではないが、何ものかにせき立てられるような、自分の続けている人生という旅がもうすぐ終わろうとしているような気がしてならない。
 だから、無意識の中にこの男に〝私があなたの傍からいなくなっても〟などと口走ってしまったのかもしれない。
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