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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
男が足許の小さな石ころを蹴った。
「十六では、そなたには釣り合わぬか? 私はそなたよりは数歳は年下なのだ」
相変わらず彼は千種を二十一、二歳だと信じているらしい。本当は数歳どころか、十六も離れている。十六歳差といえば、母子といってもおかしくはない。
その時、千種は彼が良人頼経と同年なのだと気付いた。何という偶然であり皮肉だろう。貌さえ見たこともない形だけの良人と初めて恋した男がこんなにも年若い男だとは。