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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
半ば呆れて見送っていると、機嫌の良い声が千種の耳を打った。
「千種、これを貰ってくれ」
眼前には、両手に抱えきれないほどの色とりどりの花を抱えた男が立っている。
―そんなにたくさんの花を一体、どうするおつもりなのですか?
言いかけて、千種は言葉を飲み込んだ。
彼の秀でた貌には満面の笑みが刻まれている。邪気のない笑顔は心底嬉しげで、屈託のない伸びやかな表情がそのまま十六歳という若さを示していた。