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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
「千種、やはり、そなただ」
 あの男と同じ貌をした将軍が嬉しげに自分の名を呼ぶ。それを千種は夢の中の出来事のように感じていた。
「先ほど、そなたの部屋に飾っていた花を見た時、おかしいと思ったんだ。あれは私がそなたに与えた花とまったく同じだった! まさか貌も見ずに過ごしてきた妻が千種だったなんて、考えてみたこともなかったよ」
 閨に二人きりのせいか、言葉遣いも多少砕けたものになっている。が、そんなことを悠長に感じてはいられなかった。
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