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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
「いやっ」
 千種は頼経の身体を渾身の力で押しやった。わずかにできた隙に彼の身体の下から這い出て、脇に逃れた。そのまま褥から出ようとしたところで、背後から抱きすくめられる。
「何故だ? どうして逃げるんだ。そなたはあの千種であろう? それとも、よく似た別人なのか」
 よく似た別人、その言葉が我が身が身代わりであることを思い出させ、余計に千種を混乱状態に追いつめた。
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