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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
「そなたの身体はどこもかしこもやわらかい、極上の絹のようではないか」
 薄物の夜着は身体の輪郭が透けて見えてしまうほどである。身に纏ってはいても、実のところ、何の役にも立ってはいない。夜着越しに無遠慮に触れてくる頼経の荒々しい手は千種を余計に怯えさせるばかりだ。
「夢にまで見た。そなたをこうして我が腕に抱く日を何度思い描いてきたことか。今宵、漸く願いが叶うのだな」
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