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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
「どれだけ、わしの寿命を縮めたら、気が済むのだ? そなたがいなくなって、わしが平然としておられるとでも思うたか? 亡き東子(とうこ)の今のわの際の願いをわしは今でも生命に代えても守り通そうと思うておるに。もし、そなたの身に何ぞあったときには、わしはあの世の蓮のうてなにおるそなたの母に申し開きができなんだ」
それは幼い時分から父に繰り返し聞かされた母の遺言だった。
―どうか殿、楓のことをよろしく頼みまする。