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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
―私はそなたの笑顔が好きなのだ。頼むから、笑ってくれ。
 またしても頼経の優しい声が耳奥で甦り、本当に涙がほろりと零れた。人差し指で涙をぬぐった時、背後から抱きしめられた。
「見つけた」
 あまりのことに、千種はか細い悲鳴を上げた。千種は怖々と振り向いた。訊ねなくても、声の主は判っている。
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