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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第12章 逢瀬と初夜の真実
 頼経がふいに千種の胸に貌を埋めた。やわらかな胸に幼子が甘えるように貌を押しつけ、頼経は半ばくぐもった声で言った。
「そなたは残酷なことを言うのだな。これほどまでにそなたを好きだという男に、他の女を抱けというのか? 歳など、そのようなことは関係ない。他ならぬ私が気にしないと申している。鎌倉の町で初めてそなたを見たその瞬間から、私はそなたに惹かれた。そして、そなたという女を知れば知るほど、愛するようになった。最早、何を聞かされようとも、私のそなたへの想いが変わることはない」
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