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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第13章 藤の舞
更に舞は続き、
「藤の花 昇りゆく先 見果つれば 花匂ふ都 今盛りなり」
玲瓏とした声音で高らかに歌い上げる。
二首めは季節の花、藤にかけている。藤の花は松をよすがとして伸びてゆくが、上へ上へと昇ってゆくその先ははるか高みにあって、到底見届けることはできない。
鎌倉という武士の都は今、まさにその藤のごとく昇運のまっただ中にある。下の句は〝あおによし奈良の都は咲く花の匂ふがごとく今盛りなり〟から本歌取りしている。