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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
その断固とした表情からは、もう何を言ったところで聞く耳は持たないと告げていた。蒼白になった楓を一人残し、恒正は部屋を出ていった。表に控えていたさつきに何か小声で指図しているのを見れば、また逃げ出さないようにしっかりと見張るようにと言いつけているのかもしれない。
何故、こんなことになってしまったのか。まさか六月に予定されていた祝言がふた月も早まるとは思ってもみないことだった。次から次へと涙が溢れて止まらない。