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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜

ひとしきり泣いた後、楓は思案に沈んだ。先刻、恒正は北条時晴が既に楓を見知っていると言った。だが、楓自身は時晴を知らない。だからこそ、余計に悪しき噂ばかりの彼の人となりに絶望したのだ。
御所で楓を見かけたというから、恐らくは楓が頼朝の住まいに参上したときにどこかで見かけたのだろう。楓は重臣の娘ということで、頼朝の住まいに上がったことは少なからずある。頼朝やその妻政子、長女大姫、次女三幡姫に拝謁し、政子直々に小袖と帯を賜ったことさえあった。
御所で楓を見かけたというから、恐らくは楓が頼朝の住まいに参上したときにどこかで見かけたのだろう。楓は重臣の娘ということで、頼朝の住まいに上がったことは少なからずある。頼朝やその妻政子、長女大姫、次女三幡姫に拝謁し、政子直々に小袖と帯を賜ったことさえあった。

