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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第13章 藤の舞
「私は公卿の生まれの癖に、詩歌やこのような文を書くのは苦手なのだ、いつぞやも申したであろう」
摂関家出身の将軍とは思えないが、この文のつたなさでは、本当に苦手なのだろう。逢わない間は文の一通くらいくれても良いのにと思ったけれど、この有様では期待する方が無理というものだ。
千種は思わずクスリと笑った。頼経がムッとしたように膨れる。
「笑ったな。私は毎日、そなたへの文に頭を悩ませていたというに」
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