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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜

漸く紡いだ言葉は祝言前らしいものだった。しかし、さつきは小さく首を振り、吐息と共に今度はまったく別のことを口にした。
「姫さまが北条家の若さまとのご縁組みをそこまでお厭いになる理由、真に時晴さまがおいやだから、それだけなのでしょうか?」
その瞬間も、楓の脳裡に真っ先に浮かんだのは時繁の整った面だった。しかし、たとえ母とも信頼するさつきにだとて、時繁のことは話せない。頑なに口をつぐんだ楓に対して、さつきはまた小さな溜息を洩らした。
「姫さまが北条家の若さまとのご縁組みをそこまでお厭いになる理由、真に時晴さまがおいやだから、それだけなのでしょうか?」
その瞬間も、楓の脳裡に真っ先に浮かんだのは時繁の整った面だった。しかし、たとえ母とも信頼するさつきにだとて、時繁のことは話せない。頑なに口をつぐんだ楓に対して、さつきはまた小さな溜息を洩らした。

