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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第14章 身代わり姫の告白
その言葉に、千種は首を振る。
「最初はそのように思いましたれど、今はそうは思いませぬ。御所さまもご存じのように、私は生まれながらに背中に醜いアザを持っております。それゆえ、生涯誰にも嫁ぐこともなく、ひっそりと生涯を終えるつもりでした。それが、たまたま紫姫にうり二つ、生まれ歳まで同じだったことから、替え玉に仕立てられた。一御家人の娘であれば到底見ることの叶わなかった途方もない夢、幸せな夢を見せて頂きました」