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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第14章 身代わり姫の告白
 秘密を抱えておく必要がなくなったせいかどうか、その日を境に千種の容態は少しずつ回復に向かった。食事も徐々に取れるようになると、こけていた頬もまた幾分かはふっくらとしてきて、以前ほどではないにせよ、少なくとも危機は脱したように見えた。
 そのことは頼経を何より安堵させ、周囲のお付きの者たちも漸く愁眉を開くことができた。今や竹御所が無事に御産を終えることは幕府の何よりの重大事項となった。
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