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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第15章 海に降る雪~終章~
 頼経は千種の髪と白い菊の花束を海に流した。千種は小手毬の花が好きだった。まだ互いに夫婦だと知らぬ頃、彼が贈った花束には小手毬が入っていて、とても歓んだのだ。
 思えば、小手毬の花を贈ったあの日の夜、自分たちは夫婦なのだと知った。世にも許された良人と妻であると知り、勇んだ彼は千種を強引に抱いた。あの夜、恐らくは一度めの契りで千種は身籠もったのだ。
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