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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第20章 二度と逢えぬさだめなれば
平家の血を引く安徳帝はいわば、平家の象徴でもあった。平家は壊滅したが、その帝がひそかに生きていたのはせめてもの救いだった。徳子に言葉はなかった。ただ右京の言葉のとおりであると思ったので、静かに頷いただけだ。
一旦は止んでいた雪がまた降り出したらしい。
「濡れては、お身体に触ります。早うに中に入りましょう」
右京がそっと袖を引くのが判っても、徳子はなかなか歩き出せなかった。
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