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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第22章 涙の旅立ち
 瑶子はコクコクと頷く。惟章は誠実な男だ、きっと言葉どおり、鎌倉に逢いにきてくれるだろう。けれど、その時―次に彼に逢う時、瑶子はもう今のままの無垢な姫ではない。惟章ではない別の男のものになっているはずだ。そんな他の男に穢されてしまった自分がどのような表情(かお)をして惟章に逢えるというのか。
 瑶子の想いを察したのか、惟章が優しく微笑んだ。
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