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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
 そうこうしている中に年月が経ち、頼経は二十歳、瑶子姫も十七歳になった。早婚の当時、女性はこれ以上歳を重ねると、それこそ薹が立つ。流石にこれ以上待つことはできず、ついに華燭の運びとあいなったのである。
 執権から婚儀を行うと告げられた時、若い将軍はただ頷いただけであった。
―そうか。
 その能面のように静まり返った端正な面からは一切の感情はおよそ排除されていた。最初の妻竹御所の死はこの将軍から生きる気力も歓びも笑顔も何かも奪ってしまったのだ。
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